先ほど、株式市場と年金の運用と市場の暴落について書きました。
ここで、少し専門的になるのですが、気になる方の為に、また、もしも暴落したらどうなるのか
政府にどこをどうしろと要求すれば良いのかの参考の為に書きます。
日本は現政権になって、年金の運用ががらりと変わり
GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が年金積立金の運用を任されています。
日本国民の年金がどうなるのかはこのGPIF次第と言う事になります。
しかし、それでは、国民の大事な巨額の年金を任せるには問題が有ります。
そこで、年金を運用するGPIFには一定の義務が要求されています。
それは受託者責任というものです。
◯GPIF法では役員等の注意義務、理 事長及び理事の忠実義務という責任です。
すなわち、国民の大事な年金を勝手気ままに運用数するのではなく、十分注意をして、忠実に運用しなさいという義務です。
確かに、一定の義務を課しています。しかし、これでは、国民の年金は守られません。
なぜなら、大きな損失を出しても、「注意しながら、忠実に運用した」と主張すればそれで終わりです。
大きく損失を出し、年金がどんどん減少しても、誰も責任は問われません。泣くのは年金が減少した日本国民だけなのです。
このような国民が守られない年金運用システムなのです。
では、アメリカはどうなのか。
アメリカにおける年金運用につていは、年金を市場で運用する際には、受託者責任の規定が有ります。
つまり、ERISA法((Employee Retirement Income Security Act of 1974)の略称。米国において1974年に制定された「従業員退職所得保障法」というのがあるのです。
この内容は、日本のようなシンプルな法律では有りません。
極めて厳しいものです。
労働省の細かい通知で規定もあります。
端的に言うと、日本の年金運用はGPIFが私法取引の責任の範囲(注意義務、忠実義務)に留まっているのに対して、
アメリカの年金運用は公的な運用、社会保障の観点からの規定により、義務が課されているという事なのです。
更に、運用を行っていても市場取引で年金資産を減少させた場合には、ERISA法では支払保証制度について規定しており、年金受給権はいかなる理由があっても保護されることとなっているわけなのです。
この違いは大きく、
株式市場が大暴落し、年金積み立てが大き減少した場合、日本のGPIFでは誰も責任をとらず、国民は目減りした年金で苦しむことになります。
他方、アメリカでは、大暴落で年金積み立てが大きく減少しても、ERISA法の支払い保証制度規定により、アメリカ人の年金受給はいかなる理由があっても保護されることになるのです。
日本もアメリカのように、年金積立金が市場の動向で左右されず、アメリカのERISA法のように国民の年金受給権がいかなる場合でも保障するように国に立法の要求をする必要性があるのです。
参考

(この画像は厚労省のサイトより)
ERISA法((Employee Retirement Income Security Act of 1974)の略称。米国において1974年に制定された「従業員退職所得保障法」というのがあるのです。
厚生労働省年金局
5回年金積立金の管理運用に係る法 人のガバナンスの在り方検討作業班 平成26年12月1日
受託者責任http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000066899.pdf